■インプレッション<ここがよい>


◎これだけで軽く10万円の価値がある?!メーターパネル
 まるでマッキントッシュの高級オーディオのように上品なブルーでライトアップされること
は、雑誌の試乗記やショップのHPなどを見て知っていた。しかしそれが昼間でも高い質感を
持つことは、納車されるまでわからなかったのだ。ひとことで表現すると表面の透明パネル
がかなり厚みを持ち、クリスタルガラスの向こうで針が動く感じなのだ。パネル全体のレタリ
ングも上品であり、警告灯の類も不足がない充実ぶり。もちろん視認性もよい。さらには別
記の多機能ディスプレイと文句の付けようがないと思う。比べればジレラ・ネクサス500SSの
カーボン風メーターなんぞ、子供っぽく感じてしまうし、国産各車のそれはワクワク感が皆無
だ。
 筆者は例えばノーマルがしょぼくて、このメーターがオプション設定で10万円であったとし
ても、絶対にこのメーターだけは装着したいと思う。速度計にあしらわれた赤く四角い小さな
apriliaのロゴが、薄くブルーに透かされるのをみるにつけ、このスクーターを買ってよかったと
感じるのだ。同じアトランティックでも下位機種にはない魅力だ。とにかく、このメーターパネ
ルだけでこのスクーターを買ってしまっても後悔はしないと思います。付け加えるならば、メ
ーターのみならず各部の質感も高いスクーターだと思う。

 
<画像をクリック!> このクリスタル感が伝わるだろうか?



◎多機能ディスプレイ
 速度計の下に多機能ディスプレイがマウントされている。これは画像の通り、外気温→今
までに記録した最高速度(おまわりさんにゃ見せられない!?)→平均スピード→バッテリ
ー電力→瞬間消費燃費(km/L)→クロノメーター→サービスまでの走行距離→(外気温)と
モードボタンを押す毎に表示される。筆者は、常に外気温計を表示し季節感を感じている。
 

◎各部開閉ができるキースイッチ
 メインスイッチにキーを差し込み、押しながら左右にまわすと、メットイントランクとフロントト
ランクを開閉できるようになっている。これはかつてヤマハのスクーターに初めて採用された
ように思うが、余計な抜き差しが不要でかなり便利である。ちなみに、欧米仕様の場合、パ
ーキングライトのポジションもある。




◎ウインカーのオートキャンセル
 ついつい戻し忘れの多いウインカー。特にイタスクは日本車のように質感の低いカチカチ音
など出さない場合が多く、戻し忘れも頻発しがち。アトランティック500では、走行中は40秒
か500m後に自動的にキャンセルされる仕組みとなっている。なぜこういう便利機能を、便利
主義をうたう日本車が採用しないのか不思議だ。


◎座り心地とホールドのよいシート
 まさに絶品か。レオナルドやジレラ・ランナーあるいはネクサスのようなハードで高いシート
もそれなりにスポーティで好きだが、そこはヘタレの筆者。やはり楽をしたいのだこのシー
ト、タンデムシートとの段差がバックレストの役割を果たし、加速時などにはケツを完全にホ
ールドしてくれる。まだ試していないが峠でのコーナリング時などにも恩恵にあずかりそう
だ。
 足つき性は、胴長短足の典型的な日本人体系の筆者でも良好だ。しかし走行中の視点
は比較的高い。なぜか。その秘密は、ステップボードの着地する際に邪魔になる部分が絶
妙にカットされていることにある。むしろアトランティックの250/200/125の方が足つき性が
悪いような印象があるのはそのせいかもしれない。筆者としてはイタスクらしくもう少し高くて
もよかったような気もするが、まあ排気量や車重を考えるとこれでよいのかもしれない。

足つき性の秘密はこのステップの絶妙なカット


◎走行安定性
 ますアクセルのオン・オフで若干の上下動が出ると雑誌の試乗記に書いてあったサスペン
ションだが、筆者が乗った感じでは全然上下動は気にならない。リアショックはプリロード調
整ができるので、さらにハードにセッティングできる模様。ちなみに安物の定番マルゾッキ製
ではなくSACHS(ザックス)製。へたったあかつきには、BITUBO製のものに交換しようと目
論んでいたが、これだとへたっても純正に交換した方がよいかもしれない。
 サス以外でもフロント15インチ、リア14インチという大径ホイール、左レバーの操作でフロ
ントの片側とリアが作動するインテグラル(統合)ブレーキ、大型のフロントスクリーンなどの
恩恵もあり、走行安定性は高い印象だ。
 某雑誌の読者モニターによればスクリーンの防風効果は低いと書かれていたが、筆者の
感覚ではリッターバイクのツアラーより上々のレベルにあると思う。そういえばプロライダーに
よる雑誌の試乗記にはそう書いてあった。ちょこっと高速道路を走った感じでは、横風などに
も強い安定性を示した。これより大きいスクリーンもオプション設定されているが、デザイン性
も重要だと考えれば、ノーマルでよいとも思える。
 アトランティック500にはスクーターで唯一?ステアリングダンパーが装着されている。納車
時の感覚はこれが全く利いておらず、街乗りでは逆に軽快でよいのだが、高速走行時など
に少しセッティングしてみる余地はありそうだ。ちなみに、タイヤハウスの裏を覗き込めばす
ぐに工具不要で調整可能だ。


◎エンジンフィール&エグゾーストノート
 なだ慣らし中ということもあり初期動作は硬さが残っているが、さすがはインジェクションエ
ンジン!始動性はかなりよい。キャブと違い気温や湿度によるぐずりもないと思う。当然まだ
慣らし中で全開にはできないため5000rpmにとどめている(レッドゾーンは8000rpmから)
が、街乗りはおろか高速走行もこの回転で十分な加速を見せる。アイドリングの1500rpmか
らでも十分なトルクを発するのだ。極低速でのUターンも楽勝のフレキシビリティ。これなら教
習所の一本橋を30秒以上かけて通過することも出来るだろう。しかも3500〜4000rpmあた
りから上は、まるでツイン(2気筒)エンジンのようななめらかなフィーリングだ。いやあこれで
慣らしが終わって、MOTULを入れたらどういうことになるのか、今から楽しみだ。
 エグゾーストノートは触媒つきのマフラーの効果もあり静かな低音を発する。それを上回る
3500〜4000rpmを超えたところから発せられる明らかに「カムに乗る」ような4バルブのメカノ
イズは、あたかもドゥカティの水冷デスモツインのようなサウンドを発する(昨今はドゥカもノー
マルは静かなものだ)。正直、バイブレーションの大きなシングルを想像していただけに、こ
れはうれしい誤算だ。耕運機のようなサウンドのレオナルド250(ヤマハ製マジェスティ用エ
ンジン搭載)とは雲泥のワクワク感だ。どうせノーマルでは満足できないのだから、慣らしが
終了したところで唯一アトランティック500用の設定があるレオビンチのスクート4Road(レオ
ナルド250に装着していた)に交換しようと思っていたが、ま、しばらくはノーマルで行く気に
なっている。
ただしノーマルマフラーの形状はいまひとつスポーティーなものではない。

(更新)
2006年5月、走行4660km時に、ついに我慢できずにマフラー交換した。詳しくはモディファイ
参照。

Leo Vince Scoot 4Road

 ご存知かと思うがこのエンジンはピアッジオ製のエンジンをベースにアプリリアが手を入れ
たものだ。アトランティック500と同時期にピアッジオX9-500がデビューしたが、ハンドリング
の悪さで全車リコール回収の憂き目を見、日本にも正規輸入されていない。この事実は、は
からずもアプリリアのハンドリングやパッケージングのよさを証明することになった。やはり世
界選手権優勝メーカーの実力は、スクーター専業メーカーをしのぐのだと思う。


◎意外にスリムなボディ
 最初、店頭で見たときには「さすがイタリア女性。ケツがグラマラスだあ」と思ったが、どうし
てどうして、乗ってみると比較的コンパクトな印象だ。筆者はダーク系のカラーを選んだことも
あり、視覚的にもさほどのボリューム感は感じない。カタログ数値でも250ccのグランドマジ
ェスティやスカイウェーブとほぼ同等のサイズとなっている。レオナルドは125cc並のボディ
に250ccのエンジンを搭載したモンスターマシンであったが、こいつは250cc並のボディに
500ccのエンジンを搭載したモンスターマシンということになろうか。


◎ツーリング向けの装備?
 ツイントリップメーターを装備。フロントトランクの内部には、電源ソケットが装備されている。
旅先での携帯電話の充電などに重宝しそうだ。


◎各部の質感と大人のデザイン
 デザインは細かいパーツのディテールまでよくデザインされたものになっていて美しい。ま
たボディの数箇所にあしらわれたapriliaのロゴは通常他の車種などに用いられる赤いもので
はなく、くすんだシルバー系の色でレリーフ状のものになっており非常に落ち着いた印象を
与える。もちろん500ccを誇示するかのような「500」の表記はどこにもなく、通好みの大人向
けといった趣だ。


◎シブイオプション!トンネルバッグ
 これは購入時にアプリリアのサイトで見つけ注文し、アプリリアジャパンに在庫があったの
で納車時に受領した。給油口のあるセンタートンネルの上に設置するバッグ。45リットルと
容量も大きい。取り付けは予めフロアボードにフックをネジに共止めしておき、そこにナスカン
で引っ掛け、ベルトを締める。スタイルとしてはスクーター版のタンクバッグの風情。トップに
は地図も収納可能。品番を見るとアトランティック500/250/200/125およびスカラベオ共通
のアクセサリーのようである。せっかくのスタイリングを壊してしまうスクーターのトップケース
が嫌いな筆者としては、これはうれしい設定だった。

 実物を受領してみると、ファスナーやその他の部分に品よくAPRILIAのロゴがあしらわれて
いて所有欲をくすぐる。またサイトで見たときの画像には写っていなかったし、記載もなかっ
たが、(やはり)当然、ハンドグリップや方掛けのベルト、レインカバーまで付属していた。品
番#8792285、価格は11,990円(税込み)。 


◎法外に安い価格設定
 総合すると、税込み688,000円というアトランティック500の定価は非常にリーズナブルなど
ころか、法外に安い感じすらする。私が直接的に候補車として考えたのはネクサスだけだ
が、ネクサスの価格が875,000円。しかもアトランティックは2年保証付きで盗難保険も2年
間付く。ジレラは1年保証で盗難保証はなし。国産の同クラスと比べても正直この差は何な
んだと思う。またべスパのGT200など小さな200ccで615,000万円もする!アトランティック
は価格面でもかなりお勧めできると思う。
 経験上アプリリアは壊れない(だから保証も2年付くわけだ)し、アプリリアジャパンのおか
げでパーツのデリバリーも問題がないことはわかっている。アプリリアジャパンは、あのコー
ンズ(=フェラーリやベントレーを扱う輸入車ディラー)がやっているのだが、あまりいい印象
のなかったコーンズに今は感謝したい気持ちでいっぱいだ。

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