◎今、なぜスクーターなのか?
ちなみに筆者はクルマの中古車販売店を営んでおり、本来であれば「バイクなんてやめて
中古車(クルマ)買いましょう」とお勧めしたいところなのだが、老若男女を問わずバイク・・・
それもスクーターをお勧めしている。特にビジネスマンの方には、超絶お勧め。なぜか。その
理由は大きくは、自分自身のためと環境のために分かれるわけだが、順を追って整理して
みたい。
1.スクーターは都市にやさしい
東京や大阪ならずとも渋滞はゆゆしき問題。さらにはクルマに乗って出かけても駐車場探し
でひと苦労。うっかり路駐でもしようものなら、国家権力を傘に着た公僕におびえながら仕事
にも集中できないことだろう。しかるにスクーターは特にそんな都市型の生活者に向く乗り
物であると断言しよう。スクーターであれば渋滞もあまり関係ないし、駐車場所だってよく考
えて人様の迷惑にならないようひっそりと停めればノープロブレム。渋滞の緩和、さらにはそ
の原因にもなる違法駐車の緩和と、実に都市にやさしい乗り物なのだ。
2.スクーターは地球にやさしい
これはもうずばり、燃料消費と排気ガスのこと。リッターあたり10kmの自動車よりもリッタ
ーあたり30kmのスクーターの方が、限られた石油資源を大切に使うことになるのは間違い
ないことだし、NoXなどの排気ガス汚染の度合いもぐーんと減少するだろう。だから世界的に
消滅の方向にあるが2ストは避けたいところだ。排ガスの多い2ストはいかん!環境に配慮
するのであるから国産250ccスクーターのように爆音マフラーチューンなどは、差し控える
べきだろう。悪を装った若者はともかく、なにより頭が悪く見えるし、爆音でなくともイタスク
は確実に国産よりも個性的で魅力的なのだから。
3.スクーターには季節感がある
当たり前だけど日本の冬は寒い。日本の夏は暑い。それを生身で体験できるのがスクータ
ーだ。「今日は昨日より少しだけ暖かいな」というように寒暖の差を敏感に感じ取れるように
なる。快適な生活で季節感が薄れ行く昨今、これは意外と大切なことだと思う。またスクー
ターが手放せなくなるにつれ、寒くてバイクに乗れないようじゃおしまいだ!と思うようにな
り、さらに重たいスクーターの取り回しのために体を鍛えることにもつながるのだ。これは特
に体力が衰えていく一方の30代、40代にとっては大きいかも。
4.スクーターは精神衛生によい
日本のビジネスマン、それを含むサラリーマンにとって通勤は人生で最も多く接するストレス
のたまるイベントでもある。例えば東武××線で埼玉方面から東京へ通勤されている方々
の、通勤時のストレスたるや並大抵ではないだろう。混雑する電車では座ることはもとより
吊り革にさえつかまれず、あちらこちらで「てめー押したな」「うるせー」という問答が横行し、
時としてそれは殴りあいにも発展する。痴漢もウヨウヨ、尻を触られて犯人を検挙してやる!
と意気込んだところであまりの混雑で手も動かせないありさま。どの顔も「ああ会社いきたく
ねー」という雰囲気に満ち、それはまさに現代社会の地獄絵図。帰りは帰りでターミナル駅
での席のとりあいに、残ったわずかなエネルギーを消費する日々。
そんな東武××線で埼玉方面から東京へ通勤されている方々が、スクーターで通勤をし
たらどうなるか。毎日この電車のこのドアのこの吊り革と決めていた人生と決別するのは最
初は寂しさを感じるかもしれないけれど、すぐになれるだろう。今日はちょっと早いからスタバ
でも寄って行くかと優雅にモーニングコーヒーを飲みながら朝刊を読んだり、帰り道で街道沿
いにあるブックオフにたまたま入ってずっと探していた単行本を100円でゲットしてしまった
り。何よりイタスクならガソリンスタンドのギャル系のおねえちゃんに「かっこいいスクーター
ですね。なんというメーカーなんですか」と話しかけられたりする可能性さえ否定できないの
だ。さらにはいつも時間ぎりぎりに駆け込んでいた会社に余裕持って到着し、「おっ、最近早
いね」と鬼部長に一目おかれるようになるかもしれない。遅刻しそうだったら、高速に乗れば
よいのだ。
渋滞路もスクーターならスイスイ進むし、交通費だってリッター20kmを超えるから会社か
らもらった定期券を下回るはずだ。何より会社から出てヘルメットをかぶり風を切って季節を
感じていると、会社のことなど忘れ最高の気分転換ができると思うのだ。これが精神衛生に
悪いはずがない。たまに電車が恋しくなったら、電車で通勤すればいい。梅雨時なんざ、電
車の方が楽かも知れない。
東武××線で埼玉方面から東京へ通勤されている方々にとっては、帰りの電車でワンカ
ップを呑んだり天津甘栗を食べたりする楽しみはなくなってしまうけれど、それはそれ。それ
を上回る自由と楽しみが生まれることを筆者は保証する。
5.スクーターは趣味性の演出ができる
この時代に何故スクーターなのか。もはや若者とは呼べなくなった世代の男がビジネス
に、プライベートにと華麗にスクーターを転がせば「うーん只者ではない」と趣味人を装うこと
ができる。オヤジとスクーター、この意外性がその人の人生を変えるかもしれない。こんなア
イテム他にあるだろうか。趣味はゴルフ、愛車は家族が喜ぶエルグランド、タバコはマイルド
セブン、愛読誌は週刊ポスト、、、のようなステレオタイプの終わっちゃった人生とは、180度
違う男の生き方を演出できると思う。
6.オートバイではだめなのか?
いや、いいですよオートバイ。オヤジは経済力にモノをいわせてリッターバイクでも買って乗
るのに大賛成。しかし悲しいかな、ライフスタイルに合わない乗り物は段々毎日毎日は乗ら
なくなってしまう。たまの休日にツーリングに行くのは、ハレの日の行動。そんなハレの日に
はスクーターよりバイクの方がよりよいと思う。しかし日常、ケの日に乗るのは荷物積載性
に優れイージーライディングのスクーターの方がよい。どちらか一台を選ぶとすれば、ここは
やっぱりスクーターの方がよいのではないか。リッターバイクを毎日足に使うのって、カッコ
いいけどすごく色々なことにエネルギーが要ることなのだ。